世界遺産とは
世界遺産とは、一国にとどまらず人類全体にとって、貴重でかけがえのない財産です。
1972年(昭和47)、ユネスコ総会で世界遺産条約(正式名称「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)が採択され、国際的な協力と支援のもと、人類全体の財産を将来に伝えていく取組みが始まりました。
2023年10月現在、195ヵ国が条約を締結し、1000件以上が世界遺産に登録されています。
日本も1992年に世界遺産条約を締結し、国際的な協力・支援体制の構築に貢献しています。
文化庁 日本の世界遺産一覧(リンク)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/sekai_isan/ichiran
世界遺産の種類
世界遺産には、3つの種類があります。
- 文化遺産 顕著な普遍的価値をもつ記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など。
- 自然遺産 顕著な普遍的価値をもつ地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息、生息地など。
- 複合遺産 文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えているもの。
「顕著な普遍的価値」とは?
「国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代および将来世代に共通した重要性をもつような、傑出した文化的な意義または自然的な価値」と定義されています。
Outstanding Universal Valueの略として「OUV」とも表記されます。
評価基準
世界遺産の登録は、次の条件を満たすことが求められます。
- 顕著な普遍的価値の証明のため、「作業指針」に定められる(ⅰ)から(ⅹ)の評価基準のうち1つ以上に合致する。
- 完全性、真実性が証明され、日本の法律(文化財保護法など)によって適切な保護管理体制がとられている。
- (ⅰ)人間の創造的才能を表す傑作である。
- (ⅱ)建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
- (ⅲ)現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
- (ⅳ)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観(の類型・典型)を代表する顕著な見本である。
- (ⅴ)ある一つの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本、又は人類と環境のふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)。
- (ⅵ)顕著な普遍的価値を有する出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接又は実質的関連がある(この基準はほかの基準と合わせて用いられることが望ましい)。
- (ⅶ)最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
- (ⅷ)生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
- (ⅸ)陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
- (ⅹ)学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。
- (ⅰ)から(ⅵ)が文化遺産、(ⅶ)から(ⅹ)が自然遺産の基準で、両方の基準で登録されたものは複合遺産となります。
- 完全性・・・価値を表すものの全体が残っていること。
- 真実性・・・オリジナルの状態を維持していること。
登録への道のり
- 日本の「世界遺産暫定リスト」に記載
- 推薦書の作成
- ・「顕著な普遍的価値」の証明(評価基準への適合、完全性、真実性)
・万全の保護措置(構成資産の法的保護、緩衝地帯の設定、保存管理計画の策定)など
- ユネスコ世界遺産委員会の事前審査〔令和9年(2027)より義務化〕
- ・世界遺産センターによる様式の確認
- 国が推薦する資産を決定し、ユネスコに推薦書を提出〔1年に1ヶ国につき1件〕
- 国際記念物遺跡会議(ICOMOS)による審査
- ・現地視察などを含む1年半にわたる審査
- 国際記念物遺跡会議(ICOMOS)による評価結果の勧告
- ユネスコ世界遺産委員会における登録の審議〔1年に1回開催〕